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Thursday, September 12, 2013

MOOCs:教育提供者が多様化するとどうなる?①


前回書いたMOOCsについての記事では、MOOCsの失敗等についても触れましたが、
先日MOOCsについての新しいニュースが入ってきました。こちらです↓



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世界的な企業であるGoogleが、有名なMOOCsのプラットフォームの一つであるedXと提携し、誰でもオンラインコースを創れるウェブサイトを立ち上げることになりました。

個人的にはGoogleがMOOCsの動きに大きく参入してくるのは時間の問題かと思っていましたが、やはり大きなニュースとなりました。
これによって、大学に限らず企業、そして個人等誰でもオンラインコースを提供できることになります。

さて、このように教育提供者の多様化がぐぐっと進むことは、どういうことを意味するのでしょうか?今までは大学が提供していた高等教育は将来どうなるのでしょうか?
今回も、私なりに考えたことを2点の側面から記したいと思います。


1. 高等教育が市場にさらされ、淘汰されるとどうなるのかについて

2. ターゲット(学習者)にどうアプローチするのかについて


この記事では1についてのみ述べ、次の記事で2について考察します。


1. 高等教育が市場にさらされ、淘汰されると何が起きるか


高等教育の提供者が大学から個人まで多様になり、それらが皆同じプラットフォーム上で(高等)教育を提供すると、どうなるのでしょうか。

大きな変化が起こるかどうかは、個人的には、「大学」という教育機関としての伝統がどこまでユーザーに魅力的に映るかにかかっていると思っています。
つまり、「大学」というブランド、あるいはハーバード大、東大などのある大学のネームブランドが、企業など多様な提供者のいる中でいつまで「教育を提供する者」として上位に居続けられるかが鍵だと感じています(現在上位にいると仮定)。

前回の記事でも紹介したOERの市場では、「MITの教材だから質が保証されている」というように、ユーザーがOERの質を判断する材料として、特定の大学のブランドが在ると報告されています。

これが崩れれば、面白いことが起こります。

大学等伝統的な教育機関や一般人、及び企業が、平等に近い条件下、かつ同じ土俵の上でユーザーに教育を提供するので、授業のおもしろさ、親しみ易さ、重要性、必要性など様々な要素によって各授業の人気が決まるでしょう。
つまり、大学の教授の授業よりも一般人が行う授業の方がおもしろくて人気が出る、というような現象が考えられます。Khan Academy (カーンアカデミー)のような状態ですね。

しかし、「人気が出るもの=いいもの」とは限らないことはどなたもお分かりでしょう。

そこで、そのような多様化するMOOCsにおける質評価のシステムのようなものが今後必要になってくると思います。
OERにおいては、教材の質を判断できるようなものが現在ほとんど存在しないために活用者がどの教材を選ぶのが適切なのかの判断ができず、教材利用があまり進んでいない状況です。
MOOCsにおいても提供者の多様化が進めば、オンラインコースの質を保証する大きなシステムの要求の声があがるのではないか、と考えています。
おそらく、小さなグループ向けのオンラインコースや沢山の学習者を対象とするオンラインコースなど、様々な種類のものが創られると思いますが、それぞれにおいて一定の質が保たれることが、教育においては特に、大事なのではないでしょうか。


次回の記事では、2点目の考察である
ターゲット(学習者)にどうアプローチするのかについて
を書いてみたいと思います。