先日の記事(だいぶ前になってしまいましたが)、Googleのオープンエデュケーション市場への参入によって教育がどう変わるかについての続きの記事です。
前回の記事①では “高等教育が市場競争にさらされてどうなっていくか” について書きました。
後半の今回の記事では “学習者との関係” について書いてみようと思います。
2. ターゲット(学習者)にどうアプローチするのか
先日、ペンシルバニア大学の研究で、MOOC受講者の大半がいわゆる「恵まれた」層の人たちであることが明らかになりました。
記事はこちら(日本語)↓
大学の大規模公開オンラインコース(MOOC)を受けているのは、実は「裕福な人」だった?
詳細はこちら(英語)↓
The MOOC Phenomenon: Who Takes Massive Open Online Courses and Why?
これらによると、
受講者数において現在Coursera全てのコースの約20%の割合を占める同校の複数のMOOCコース受講者対象の調査で、
"The student population tends to be young, well educated, and
employed, with a majority from developed countries. "
(受講者は先進国に多く、その中でも比較的教育レベルが高く、雇用されていて比較的若い層に多い。)
"There are significantly more males than females taking MOOCs, especially in developing countries."
(とりわけ発展途上国において、男性の受講者の数が女性の数を上回っている。)
(受講者は先進国に多く、その中でも比較的教育レベルが高く、雇用されていて比較的若い層に多い。)
"There are significantly more males than females taking MOOCs, especially in developing countries."
(とりわけ発展途上国において、男性の受講者の数が女性の数を上回っている。)
まさに、MOOCならぬ
MOBC (Massive Open BOnline Courses: ボンボンのための大規模公開オンライン講座) になっているわけです。
これは単なるアーリーアダプターが受講している現状を明らかにしただけなのでしょうか?放っておけば他の層にも広がって行くのでしょうか?
この現状を認識した上で考察をしてみました。
(2)Google参入でMOBCからの脱却をはかる
Googleが参入したことにより、世界中の誰もがMOOCを提供する側に立てるようになります。これによってオンライン教育は大学だけのものに留まらない広がり、例えば
- 企業が社内研修に用いたり
- 家庭教師が自らの指導に用いたり
- 中学生、高校生が生徒向けに講座を開講したり
- ある人が、同じような趣味を持つ人々に向けて講座を開講したり、等々
を見せるでしょう。
このように、今まである意味で「伝統的な大学の教育」しかMOOC上で行われなかったものが
その型をはずれ、個人的な用途等様々な方向に広がっていきます。
つまり、様々な需要に応じて講座が開かれていくことが予想されるわけです。
需要に応じて講座が開かれれば、例えば
MOOCで途上国のために農業技術を教える講座を開講する農家が現れる
なんてことも考えられるのではないでしょうか。
アフリカ等途上国における農業技術発展の需要に伴って、途上国の気候や土壌に合う農作物の栽培方法を教えるような講座があれば、途上国からの受講者が増えるのではないでしょうか。
このように、学習者の需要も考慮した上で、MOOCを現在の教育システムと完全に置き換わるものとして捉えるのではなく、上手く生き伸びていける場所を見つけて行けるように議論することが大事だと思います。
最近はMOOCに関する調査結果が出てきているので、ますます面白くなってきたと感じています。今後も慎重に動きを追って行きたいと思います。
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